【引退特別寄稿】カセ釣り奮闘記・10年間の串本のカセ釣り(第一章:グレ釣り その1)

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(アイキャッチ画像(上画像)は2014年6月17日の釣果。この頃はグレ釣りに燃えていた。笑)

プロローグ

2013年の6月末のある日、釣友のHN:悪っちゃんから一本の電話が鳴る。もちろん次の釣りの話で、会話の内容はこんな感じだったです。

悪:「かねさん、次(29日)は鯛釣りにせえへん」
僕:「エエな、ほな、磯は厳しいし、掛かり(カセ)にしようか」

最初は、切目の庄門丸はどうかなと思ったので、近々の釣果情報を調べました。すると庄門の釣果はイサギばかりだったので、悪っちゃんに折り返し電話をして、「切目、鯛食うてないわ。イサギ釣るなら磯がエエし、真鯛でどっか無い?」。すると、悪っちゃん曰く、「この前、串本大島の大島フィッシングに行ったけど、雰囲気良かったで」とのことでした。

スポーツ新聞で串本のカセの釣果情報を確認すると、かなり派手な釣果情報が並んでいたし、直感的に「これは悪っちゃんについて行く感じがエエかもしれん」と思いました。

この頃、メインの釣りは磯釣りの僕は、磯釣り以外は適当な感じでやっていたし、カセ釣りに対しても特別な感情は全く無かったです。悪っちゃんと釣りに行くと、もう、めちゃくちゃ面白いので、釣りはナンでも良かったし、とにかく、「カセでも鯛でも、ナンでもエエし」という事で、29日の釣りを楽しみにしてました。

しかし、この釣りが、その後10年間の釣りの方向性を大きく変えることになる。いや、その時は、全く思いもしなかったですが・・・

脱走真鯛がよく釣れて、楽しかった

第一章:グレ釣り

串本のカセ釣りに入れ込む前、磯の上物がメインの僕は、ホームグランドを古座の藤田渡船にして、古座の磯をメインに釣行を重ねてました。

四国(主に南西部)の磯にも、通うほどでは無かったですが、適度に釣行するようにして、とにかく上物の釣りの修行を色々とやってました。

上物の釣りという事で、メインターゲットは普通はグレですが、僕の場合、「グレをメインに狙う」というのに、何処かしら違和感のようなものを常に感じてました。

「繊細な仕掛けで」「道具(ハリス)を何号まで落として」とか、こう言う辛気臭いことがグレ釣りでは半ば常識、実際それでレギュラーサイズ(和歌山なら35cm、四国なら40cm弱)が数枚釣れたら上出来というような空気感。

いや、「僕が磯でやりたい釣りは、そういうのじゃない」

当時の僕には、理想としていた釣りが、実はありました。

磯釣り時代の僕の写真(中泊・鹿島・観音崎)

グレという魚と理想像

四国の釣りは、愛南町(愛媛県)の中泊がホームグランドで、当時から大型の尾長グレがよく釣れるという事で人気のスポットでした。

通常、流れの中に主に生息する尾長グレは、本来「本流釣り」という釣り方で狙えるんですが、この頃の中泊は既に、本流よりも大島周りの地磯のようなポイントで瀬際やヨレを繊細な仕掛けで狙うような釣りがメインになってました。

正直なところ、「そういう(尾長グレ)釣りはやりたくない」。せっかく四国まで遠征するわけだし、ド本流をガンガン流して、ナンでもイイからデカいのと勝負して、極限まで愛竿をブン曲げるような釣りが僕の理想としている釣りで、そういう釣りをしたいと思ってました。

四国は通い始めたころ、御荘の宮本釣りえさ店でエサを購入してから現地入りするのが僕のルーティーンで、店主の宮本一男さん(本流釣りの名人でダイコーのフィールドテスター)に傾向や対策を教えてもらうのがこの遠征の楽しみの一つでした。

理想としたパフォーマンス

ある時、釣り雑誌のダイコーの広告にその宮本さんの釣っている姿の写真がありました。

その写真は、ド本流でドデカい真鯛を掛けて、竿(もちろん2号竿)は今にも爆発しそうなくらい歪(いびつ)な曲がり方をしている画像で、「かっけぇー、こう言うのやりてぇ」と心底思いました。

そう、僕が理想として追い求めた釣りは、「愛竿の極限の弧を描く釣り」。相手がデカすぎて道糸を全部持って行かれるとか、激しすぎてリールシートがもげるとか、そういう釣りを目指していたし、それをバリバリにやっているのが宮本さんで、もう、尊敬しまくってました。

「釣り方を追うな、なり方を追え」(海信語録)

宮本さんは、本来大阪在住だったと記憶してますが、四国南西部の本流釣りが好きすぎて、御荘に引っ越して(現地移住して)釣りエサ屋をやりながら技を磨いていた人でした。

「ああ、すごすぎる。真似したい」

まあ、最後の最後に串本のカセ釣りで同じようなこと(串本移住)を僕もするわけですが、理想像としたお手本が、実は20年前にあったわけです。笑

宮本さんみたいに、なりたかったんでしょうね。

グレは最も釣りやすいターゲット

磯釣りをメインでやっていた頃に、インターネットビジネスと出会った僕は、フィールドを、それまで大好きだった四国の磯から、和歌山の磯メインに変更しました。

いや、釣りを楽しむだけで良かったら、圧倒的に四国の磯の方が楽しかったんですけどね。磯際のバキューンとか、けた違いに多かったですからね。

ただ、インターネットに自分の釣りを公開して、広告収益を上げることを目指すなら、絶対に必要なのはアクセス(人が見に来ること)で、人口の多い関西圏に隣接した和歌山の釣りの方が、四国の磯釣りに比べて、圧倒的に量的に勝りました。

要は、人が少ない四国の釣りは面白いけど、ウェブに来る人(見込みアクセス)も比例して少ない。和歌山の釣りは、釣り人口自体が多いので、一定のアクセスは見込めるということで、ブログを大きくしたいなら、「この段階では、四国の釣りは捨てるべき」と決断しました。

こうして、古座の磯に通うようになりました。

古座川が入っている古座の磯は、汽水の影響で色々な魚が釣れます。チヌや真鯛もボチボチ食ってくるし、通称「謎の魚(バキューンときて取れない魚)」も適当に当たってくるし、謎の魚のおかげで理想としている「ブン曲げ」も、ある程度は出来ました。

グレの魚影も濃くないわけではないので適当に釣れるんですが、謎の魚対策で3号ハリスから落とすことが無い仕掛けで一日の釣りをやっていると、「グレって本当に釣りやすいな」と感じることになるわけですよ。

よくよく考えると、これは当たり前で、なぜなら、磯の上物の道具って、ほとんど(全部って言って良いかも)「グレ釣りの道具」じゃないですか。グレを掛けるため、取り込むためにカスタムされている釣り竿であり、リールであり、ウキであり、針であるわけですよ。そりゃ、「グレって本当に釣りやすいな」となるのは、当たり前です。

また、「ワケ解らんヤツ(バキューン)」は、グレの道具ではおおよそでトルクが足りないものばかりで、ある意味、掛けてもバラすのが当たり前の中(準備、装備)でやっているわけで、グレを狙うのは、ナンか、「難しいのを避けて楽な方に逃げている気がする」となってしまったので、この頃、僕はグレという魚をそんなに好きでは無かったです。

ただ、「グレは面白くない」というのは、良型グレをシッカリと釣って来た人が言うなら信憑性や重みもあると思うんですが、僕のこの時点での良型グレの累計釣果は、「それ(面白くない)を口に出すまでは至ってない」わけで・・・

魚を釣ること自体に難しさってのは感じることは無いんですが、この時ばっかりは「釣りは難しいな」と思ったですね。

外道の方が楽しいかも

磯の上物の釣りやっていると、外道のアタリは多いわけで、南紀の磯では特に多いのがサンノジ(ニザダイ)です。

サンノジってレギュラーサイズは35cmから40cm足らずが多いわけですが、体高があるしアタリはバキューンと来るので、釣り上げたばかりは、どうだろう、1割から2割増しくらいの大きさに見えると思います。(40cmと思っても36、7cmって感じ)

僕はこのサンノジという魚が結構好きでした。

南紀の磯で釣れるグレって、正直言って、食べてもそんなに美味しいモノでは無いし、サイズのアベレージも40cm足らずが中心では釣り味も大したことはないと来ているので、それならちょっとでも引きが強い魚の方が良いと思ったし、サンノジってそういう考え方にピッタリのターゲットでした。

しかも、サンノジって数が釣れるし、基本的に釣れても即座に放流なのでキープの面倒な手間も要らないわけです。グレの気配が微妙かなというタイミングでは好んで釣ってましたね。

サンノジの引きは楽しい・古座・大箱ハナレ

でもって、こういう釣りばかりしていると、道具はドンドンごつくなるし、大型の真鯛なんかも釣れるようになりました。

2010年1月 76cm、5.2キロの真鯛・九龍島にて。この時のハリスは6号だった

この真鯛は、当時の古座の磯釣りでは渡船屋記録になっていたし、もう、グレを狙うより、こう言うの(デカいヤツを)狙っていた方が面白いとなったので、この頃から南紀の磯では上物の釣りをやっているんだけど、ハリスは5号とか6号でやってました。

グレ釣り師達特有の空気感

大阪在住だった僕は、南紀の磯釣りには、日帰りで行くことも多かったですが、週に2日程度は竿を出すようにしていたので、泊まり込みでやることも多かったです。

こうなると、他の釣り客や船頭たちと夕食を共にする機会もたくさんあったわけで、彼らと釣り談義も良くやってました。ただ、馬が合うっていう常連客は、ほとんど居なかったのが本音だったです。

常連の多くは古くから通っている年配の人が中心で、彼らには独特の空気感のようなものがあったわけですが、僕は全く馴染めなかったし、彼らも僕を外様の扱いにして、仲良くしてくれることは無かったです。(表面上は一緒に笑って飯食ってたりするんですが・・・)

正直なところ、こう言う系のオッサン釣り師って多いし、僕は苦手でした。素面(しらふ)では僕の事を怖いモノみたいに接触してくるくせに、酔っぱらえば仲間通しで築き上げた価値観のようなものを押し付けてくる。

「かねちゃんはエエよなぁ。好きな釣りを存分にやれて、釣りでお金を儲けて・・・」

時間の自由を勝ち取るため、あるいは、釣りのコンテンツだけで儲からないので、それを自分でやっているビジネスの中に仕組みとして取り入れるための試行錯誤とか彼らは何も知らないし、説明したところで無駄なことでもあるし、理解してもらうつもりも無かったです。

ねちねちとした、妬み、やっかみ、ひがみ、嫉妬、そういうのをマトモに感じることもあったし、常連客の全部が全部、こんな人たちでは無かったですが、いつも異物として見られるような、独特の空気感を感じることが多かったです。

底物客は、こう言う人、少なかったように思いますが、上物客はこんな人、めちゃ多かったし、僕は、グレ釣りがそんなに好きでも無ければ、グレ釣り師も、また、あまり好きにはなれなかったのが本音です。

「何を釣るか、どう釣るかよりも、誰と釣るか」(海信語録)

正直なところ、この頃、僕は「人に飢えていた」ように思います。

同じ理想を目指して、切磋琢磨できるような仲間が欲しかったですが、僕の理想は一般論からは、ぶっ飛びすぎている自覚もあったし、「普通の人に同じ理想は無理か。笑」とは解っていはいても、「感覚的な部分で共鳴できる人が居ても良いけど」とは、いつも思ってました。

船頭や地元漁師にブレイン的な存在になってもらって、彼らから得た知識や技を実践で試し、それで得られた結果や感覚を引き出しにして、肉付けしていくことで「俺の釣り」を作っていく。

こんな感じで「何を釣るか、どう釣るか」の理想像は輪郭がハッキリとしてましたが、「誰と釣るか」を間違えてブレるのは僕の中ではあり得なかったし、少なくても、年数ばかりで太っているベテランと呼ばれる人たちとは一線を画しておくのは僕の中では当たり前でした。

今になって思う事は、当時の僕はケツが青いというか、人それぞれの釣りの楽しみ方ってのに、全く気遣いが無かったんですね。

実力が無い、実績が足りないから自信が無い、だから人それぞれの釣りの楽しみ方を受け入れられない。実際、こんな釣り師だったです、僕は。笑

なので結構嫌われていたと思うんですけど、ホント、申し訳なかったと後々になって思ってました。

とは言え、こういう「受け入れられてない空気感」があったから、「次」に進みやすかったことも事実で、そういう背景の中で、冒頭の「悪っちゃんに誘われて串本のカセ釣りに行く」となります。

そこで驚きの光景を目にすることになるわけですが。

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兼崎 秀治串本大島カセ釣り研究所代表

投稿者プロフィール

串本大島カセ釣り研究所を運営しております、HN海信(本名:兼崎秀治)です。
波止釣り、磯釣りを経て、現在カセ釣りに夢中ですが、12歳から釣りやっているので、釣り歴は40年以上です。

現在後進の色々な人に釣りの魅力を伝えるべく、日夜邁進しております。どうぞよろしくお願いします。

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