コラム・カセ釣りレッドゾーンのすすめ ~その3・釣り方と考え方~
目次
イワシエサのフカセ釣りは、串本のカセ釣りでは冬場の青物(ブリ、メジロ)釣りでやっている方が大半と思います。
どうだろうか、イワシエサの画像とか見ると、青物の強烈な引き、唸るドラグを思い出して、「ああ、早く冬が来ないかな」とか思う人もいるかもです。笑
いやぁ、梅雨から秋口にかけても、思い切ってやってみれば、青物の釣りに勝るとも劣らない「すごい釣り」を体験できます。本稿では、その釣り方や考え方について詳述していこうと思います。
カセ釣りレッドゾーンの考え方
まずは、この釣り(カセ釣りレッドゾーンの釣り)の考え方です。
養殖の小割は大きく分けて、マグロと真鯛の小割ですが、マグロが生(冷凍)イワシ、真鯛はペレットが給餌の基本です。ちなみに、ペレットですが、イワシの魚粉を加工して作られた人口飼料で、早い話、養殖の魚は、ほとんど全部、毎日イワシを食っているわけで、このため、串本湾内の魚はイワシへの反応がすこぶる良いことが特徴としてあげられます。(代表的な例としてはグレはオキアミはほとんど食わないけど、ペレットはむさぼるように食ってくることなど)
なので、水温が高くなる梅雨から夏場に掛けてはイワシを撒けば、色々な魚が目視できるところまで浮いてきます。
通常、見えるのはエサ取りになる小魚がほとんどですが、小魚の下に大型のイズスミやグレ、場合によっては真鯛や青物なども目視することが出来たりもします。で、当然ですが、見えない深さまでマキエで活性が上がると、警戒心の強い大型魚もマキエに狂いだすわけです。狙うのは、こういう魚たちです。
潰したイワシを撒くことで極限まで活性を上げて、イワシを姿のまま針に付けて、これに噛みついてくる大型魚を狙い撃ちする。これが、カセ釣りレッドゾーンの釣りの基本的な考え方です。
カセ釣りレッドゾーン実践の時期にイワシを潰して撒くと、ほとんど海面下2、3mまでで全部取れてしまう。そのくらいエサ取りは凄い。なので、底物をメインで狙いたい場合や、中層にイズスミやグレが見えないよう時はタナも深くなることが予想されるので、そういう時は「イワシを潰さず撒く」と良かったりする。
イワシの形状がそのままの場合、エサ取りはイワシの腹を狙ってつつくのが基本だが、ある程度の形状を保ったまま、深いところまで落ちていく。底物狙いのマキエの仕方として覚えておきたいところだ
カセ釣りレッドゾーンでの釣り方
「仕掛け図」と「サシエの付け方」、「サシエの残り方で読みを入れる方法」をここでは書いておこうと思います。特に、サシエについての考え方は、非常に参考になると思いますから、覚えるまで何度も読み返すことを推奨としておきます。
仕掛け図
釣り方としては、仕掛けは至ってシンプル。基本は完全フカセなので、フロロの通し仕掛けに針を一本結ぶだけの単純な仕掛けでトライすれば良いです。
大型イズスミや底物でクエを狙ったりする場合は、ラインの号数は12号前後がお勧めです。イズスミは5キロを超えてくるものも当たりますが、そのくらいのサイズから歯の硬さ、突進力がけた違いになってくると思ってください。また、底を狙うにしても、クエやコロダイなど、一発目の突進力が半端ないものが当たってきたりするので、その場合、細いラインではひとたまりもありません。
冬場であれば、青物が大半なので、ある程度、「このくらいの道具で」と予想も対策も出来ますが、夏は何が当たってくるか解らないので、強めの道具で保険をかけておくのが良いです。
この考え方は上物のグレ釣りにもある程度、考慮が必要で、通常、グレ(しかも口太)であれば、ここ最近の道具であれば3号のハリスで釣れば、相当にドデカいグレであっても、まあ、取り込みには至れると思います。道具の強度も昔とはけた違いにアップしているし、まして「カセから」という条件もあるわけですからね。
ただ、レッドゾーンの釣りでは、外道のパンチ力が半端ないし、グレが見えないからと言って9mくらいまで入れると、もう、何が当たってくるか解らないわけです。
上物の道具であまり強烈なヤツが当たってくるとどうしようもない部分もありますが、同じ吹っ飛ばされるにしても、一回くらいは勝負型に持ち込みたいのも釣り人の性(さが)だと思います。その具体的なラインの号数が「6号」と思って頂いて良いと思います。
サシエの付け方
サシエの付け方は大きく分けて
- 一匹付け
- 2匹(3匹)付け
- 切り身
以上の三通りに分類できると思います。それぞれの特徴や考え方をここでは示します。
一匹付け
寒の時期の青物狙いでもイワシの一匹付けで釣る場合が大半なので、この付け方は馴染みがあると思います。ただ、寒の時期とレッドゾーンの時期では、イワシの付け方を変えます。
寒の時期はイワシの背を抜いて腹に針先を掛けます(頭、目玉を通さない)。青物はイワシのサシエは丸のみにしてくる場合が大半で、この付け方で掛かりに何の問題もありません。
また、寒の時期の青物狙いは狙いのタナが30m前後になること、あるいは、湾外のアンカーなどでは100m流す場合などもあるし、これだけラインを出してアタリが無くてサシエが針に残ったままリールを巻いて回収にかかると、残ったサシエが回転するので、糸撚れによる糸癖が強烈についてしまう事になります。(穂先にくるくる巻き付いて、めんどくさーとか、なったこと無いですか?)
要は、イワシの頭の部分に針を刺してしまうと、サシエを取られなかった場合、確実に針にサシエが残るし、しゃくったくらいではサシエを切れないので、針に残ったサシエが回転して糸撚れが大変なことになるという事です。
以下の動画で青物用のサシエの付け方を学習してください
対して、夏場のイワシエサのフカセ釣りでは、冬バージョンの付け方をしていると、今度はエサ取りが凄いので、タナまでサシエが持ちません(通りません)。なので、一匹刺しにする場合は、目を抜いて(抜ききって)腹に針先を持ってくる付け方になります。
イズスミやグレは、一匹刺しのイワシに食らいついてくる場合、必ず、腹の部分をかぶってきます。なので、腹の部分に針先が無いと、当たっても掛からないわけです。非常に大事な部分なので、これを頭に叩き込んでおいて欲しいと思います。
夏場の上物狙いは、青物狙いと違って、狙いのタナが5mから深くても9mから12mくらいを釣る事が多い。なので、アタリが無くて仕掛けを回収するときは、リールを使わず、ラインをしごきながら、水を張ったトロ箱に回収するようにすると、糸撚れを取りながら仕掛けを回収することができる。(水を張ったトロ箱がキモ。こうすることでラインがもつれることは無い)
底物狙いの場合は、場所によっては20mくらい入れる場合もあるが、この場合も、10mほどリールで回収して、残り10mは手繰りでトロ箱にシゴキながら回収するなどして、とにかく、ラインに掛かる撚れを最小に抑えることがレッドゾーンの実現への近道でありヒントだ
カセ釣りレッドゾーンの上物の釣りでは、この部分はキモの一つになるので、ぜひ、ご記憶の上、実釣で試してみて欲しいと思います。
2匹(3匹)付け
ブリやクエを狙う場合、これらのターゲットは、大きめのエサを好む習性もあるし、サシエを大きく付ける(見せる)事で有効なアプローチにすることが出来ます。コロダイや(大型)真鯛にもこの付け方は有効で、筆者の実績も多数です。
この付け方の場合も、エサ取りにはもちろんボロボロにされるし、ボロボロにされたサシエでは良いのは食って来ないので、サシエが付いたまま(残ったまま)回収に掛かることが大半ですが、上のワンポイントアドバイスで示したような回収の仕方を出来るだけするようにしてください。
2匹付けは、残ったまま回収に掛かれば、プロペラのようにくるくる回りながら上がってくるので、確実にラインは撚れます。如何にラインの撚れを少なくして釣りを継続するかを、常に考えながら打ち返しをするようにしてください。
尚、3匹付けてさらに大きく見せて、底をズルズル這わせるように釣ればエイが当たってきます。
エイは重たく引きも強烈なヤツがいますが、スピードが無いので、案外取り込みやすいです。定期的にエイも釣って、ラインを伸ばすようにすると、真っすぐなラインで釣りを展開できます。(筆者の動画ではエイとの格闘シーンが多いが、実は、糸を伸ばすために釣っているわけ。笑)
切り身
切り身は、全体的に活性が低い時や、グレ狙い、真鯛狙いなどに有効な場合があります。
特にグレは、網のそばで見える所まで浮いてくるような高活性の場合、三枚におろした短冊状の切り身が有効エサになる場合があります。(申し訳ない、画像が無いです)
短冊はイワシで作ると、サシエの持ちは生オキアミなみに悪くなりますが、これは裏を返せば、「食わせやすい(食い込みが良い)サシエ」という事にもなります。
なので、イワシ短冊はグレ狙いの特効薬でもあるわけですが、エサ取りが強烈な状況下でイワシ短冊で釣りづらい場合なども想定できるわけで、この場合は、メジカかサンマを使うのも有力です。
メジカは血の気が多くサシエにするだけで集魚効果があるエサです。サンマは短冊を塩漬けにしておくと身持ちが良いです。いずれも、切り身エサで使用できますから、状況に応じて準備されると良いと思います。
また、イワシのぶつ切りで骨付きのままサシエにするのも有力です。水温が下がった寒の時期の青物釣りや、レッドゾーンの釣りなら真鯛狙いの特効薬になることがあります。
サシエの残り方で読みを入れる方法
エサ取りの多い時期の釣りなので、イワシのサシエは、ほぼ毎回確実にズタズタにされますが、サシエの残り方で水の中の活性状態に読みを入れる事が出来ます。
「サンマを上手に食べる人」みたいに、背骨が残ったままの形状で返って来るのは、小アジ中心の小魚のエサ取りがサシエにアプローチしていることを意味します。
これは、大型魚の活性が低い場合や、良いのが釣れない時、あるいは潮の状況が芳しくない時にこのようなサシエの残り方になります。
全体的に活性が低いタイミングでは、イワシはこうなる(骨付きで返って来る)と記憶されて良いです。
対して、頭だけでイワシが返ってくるときは、レッドゾーンにリーチが掛かっている状態と思ってください。
サシエにアプローチしているエサ取りも活性が高く、この取り方だと、仮にエサ取りのアプローチだとしても、穂先に節のあるアタリが出るはずです。
よくあるのは、骨付きで返ってきていたサシエが、突然、頭だけで返って来るようになることで、その場合は、(そろそろアタリがあると)臨戦態勢に入って、マキエは切らせないようにしてください。
で、こういう時は、ガシラやオオモンハタの幼魚、あるいは中型のグレなど、中小型の根魚からヒットしてくるのが「よくあるパターン」ですが、油断をしているとトンでもないのが、次の瞬間くらいに襲い掛かってきます。笑
これは裏を返せば、サシエが頭だけになるタナを探せば近道にもなります。あるいは、イワシが骨付きで返ってくるときは、お弁当にするなど、一息入れれるタイミングとも取れます。(暫くイイのは無いですからね)
本稿は、めちゃくちゃ長くなりましたが、これでも書き足りないくらいです。笑
くどいようですが、繰り返して読まれることを推奨としておきます。(かなり重要なことを書いてますからね。笑)
当コラムは連載物です。目次は以下です
- コラム・カセ釣りレッドゾーンのすすめ ~その1・ターゲット~
- コラム・カセ釣りレッドゾーンのすすめ ~その2・ロッドとリール~
- コラム・カセ釣りレッドゾーンのすすめ ~その3・釣り方と考え方~(現在地)
- コラム・カセ釣りレッドゾーンのすすめ ~その4・ウキフカセ~
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